ハンドラED:001について思うこと
キャラ萌えの話一切なし。主要なルートいくつかに触れているのでふわっと全体的にネタバレ注意で
※前提として私は政治の話をしていないので下記に何か政治思想の話が混ざっているように読める部分があったとすれば気のせいか、あるいはあなたの政治思想が若干強めなんだと思います。
真相解明編ED:001をライター本人がハッピーエンドと呼ぶの、同意できる人もいれば同意できない人もいるだろうけど、一個だけ言いたいことがあって。
現代の日本で日本人が作ったゲームで、”特別防衛隊”とかいう名前でゲタ履いて制服着た未成年の学生が侵略戦争に強制動員されるゲームで、侵略者が全員死んで平和な世界が築かれる結末をゲームの責任者がハッピーエンドと言わないわけにはいかないだろ!!!!これを書いた人がこれバッドエンドですよね~(笑)とか言ったら逆に思想が強すぎるだろ!!!!!!
特防隊は自分の意志でもなく何も知らされずに戦わされている兵士であって何かの責任を取る立場にないから特防隊が死んじゃうのってほんとにかわいそうな話ではあるんですけど、戦争をテーマにした以上は戦争を賛美することは日本の社会道徳上許されないんですよね。だから後味すっきりな真の意味でのハッピーエンドはない。でも001は少なくともすべての真実を知って、もう殺したくないという拓海たちの願いの通りに侵略は終わらせることができて、おまけに異血とかいうオーバーパワーな兵器も地上から消え失せているので、やはり”道徳的には”一番ハッピーエンドに近い結末ではあります。感情の話は(涙)(涙)(涙)
現代のわたしたちがたくさんの命の犠牲や努力や祈りが紡がれてきた結果として今のところ平和に暮らせているように、拓海たちの思いをつないで001の世界をハッピーエンドにするのはこれからの希の仕事なんだよな。異血の力がもうないからフトゥールムの言葉を覚えるところからはじめないといけないのではないかと思うと途方もないですが平和というのは途方もないことなんだ…
まぁ、道徳的に侵略はどんな理由でも悪いことだとはいえ戦場には他にもたくさんの矛盾や葛藤があって”何も知らない兵士が自分の職務を全うすること”や”苦悩の中でも自分が生きたいと願うこと”を責めることはできないというのもあって、そういうエンディングもちらほらあります。真相編以外のルート設計は打越さんだと聞いたので多分意図的に戦争もののいろんな側面を振り分けてあるんだと思う。デスゲーム編とかは民間人を殺すというガッツリ戦争犯罪の苦悩とそのうえでワガママにも自分が幸せになりたいという兵士としての感情とかを描いてるし、ワザワイの箱編は罪悪感のPTSDから精神崩壊するルートもある。ノモケバ編は戦争テーマの作品でよく描かれる人類補完計画的なディストピアエンドをカバーしてますよね。
ハンドラはハンドラなりに、重いテーマに対してできうる限り真摯に向き合っていると感じるのでそこが好きなところです。わたしはハンドラのことを「倫理はないけど道徳はあるゲーム」と言っているのはこういうところ。鉄血のオルフェンズとかも同じ感じで好きだったのでわたしはこういう作った人たちの真摯さや願いみたいなものを感じるコンテンツに弱いんだろうな~世界中が侵略はダメなことで戦争は悪いことで人を殺すことは仕方なくなんかないって思ってくれたらいいのにな。平和な世界を心から願っています。
何の話してたっけ。001をハッピーエンドと呼ぶのは人の心がないからではなくてこの今のところ穏やかな日本社会に暮らす大人としての責任だと思うという話だった気がする。こういう作品で道徳観がきっちりしているのは安心して楽しめるのでありがたいです。無邪気に暴力をポルノ化しているだけの作品はやっぱりきついなと思うので……
いや、それにしてもなんかただ感想言ってるだけなのにこれをインターネットに公開することに多少の勇気がいる。3回ぐらい「やっぱりはてな匿名ダイアリーに書こうかな…」と頭によぎった。でもこのゲームを世に出した人たちはもっと勇気出したはずなので、わたしもハンドラに関してはチキりすぎないようにしたいと思っています。それにしたってハンドレッドラインは勇気を出しすぎている。決死必殺のチュートリアルを受けたとき「これ終わり方によってはガチやばい思想のゲーム認定されるだろ」と冷や汗かいたものです。勇気出しすぎ。
それでも、ありがとうハンドレッドライン